きみは永遠の小悪魔【完】
ホワイトクリスマスに恋の星座が降ってきた。


真っ白な雪が舞う昼下がり。
学校の補習帰り、お迎えの車を待っているところへ、ストーカー紛い元家庭教師が突如やって来て私を連れ去ろうとした。

「あんなに良くしてやったのに、お前のせいで人生台無しだ」と、怒声がぶつかる。腕を強く引っ張られ、身動きが取れずに硬直した。

事件が起きた日に限って、水無瀬さんは財閥が主催する大きなパーティーの増員警護のため不在。

「怖い、力が入らない、ダメかもしれない」

逃げることもできずにいたら「ふみさんから手、放せよ」と低い音が聞こえた。

視界に水無瀬さんの姿が映ったの。

急展開の末、ストーカーと化した元家庭教師は水無瀬さんの圧倒的な強さにより、こてんぱんにされ、警察に突き出されたのです。

調査書に記載されていた『手荒』を目にしたのもこの日が初めてだった。

恐怖から解放された私は、小さな子どものように涙をぽろぽろと溢して泣き崩れる。


「あいつ、もっと締めときます?」

「………っ、もう十分です。助けに来てくれてありがとうございます」

「当たり前でしょう。つまらないパーティーよりふみさんが大事なんで」

「…でも、今度からは無茶しないでくださいね。蹴るのは…ちょっとだけ、びっくりしました」

「じゃあ次は左足使います」

「私の話聞いてました?」

「俺にはあんたを護る権利があるんで、傷つけるやつは容赦しませんよ」


水無瀬さんは自信満々にそう告げて、口元に淡い笑みを咲かせた。

苦手が恋に煌く瞬間、ぱちんっと微炭酸が弾ける甘い音がする。
18歳の初恋が始まる理由は、あまりにも単純だった。
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