きみは永遠の小悪魔
あっ。ほんとだ!なんて、呑気な言葉を胸中で呟くと「ふふ」と、小さな笑い声だけが転がっていくの。

また、だらしなく眉尻を下げて笑っちゃった…気がする。

アルコールのせいにして、ぼんやり彷徨う私の意識を繋ぎ止めるように、彼の指先が唇を柔くなぞった。


「ふみ」


聞き慣れない呼び捨てに、肩が跳ねたのは一瞬だけ。

鼓動が加速する音に合わせて、きゅっと一文字に結んだ唇が薄く開く。「あのね」そこから先、繋がった言葉は主従関係の域を簡単に超えた。

ずっと先延ばしにしていた秘密の質問を、もう聞いていいよね……?


「彗は私のことどう思ってますか?」


言ったそばから、わざとらしく視線を外して逃げちゃった。告白から作り出した甘ったるい雰囲気も、これじゃあ台無しですね。

そう、落胆しているところへ、彗の低く掠れる艶っぽい声が耳の先を撫でた。


「ふみさんが思ってるより、惚れ込んでますよ」


意地悪を仕掛けられて、期待している私がいるんだ。


「まだ他に欲しい?」

「……………」


言葉を返さず素直に頷いた。
肌にぴたりと張り付いた髪を、優しく掬って耳に掛けてくれる行為にさえ、彼の余裕が伺える。

触れたところ、ぜんぶ赤らんでる。
まるで、眩しい幻想を見ているみたい。
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