きみは永遠の小悪魔【完】
火照った肌に張り付いた掌が頭の後ろへと回され、近づいた唇にそっと瞼を閉じた。

“触れ合うだけ”の可愛らしいものが、啄むような口付けへと変わる。混ざり合う呼吸に体の奥がぞくりと痺れた。


「う、んっ」


熱を纏った吐息が不意に溢れ、酸素を求めるように唇を開けば、生ぬるい感触に襲われて。うっすら瞼を持ち上げた。

お互いの視線がぶつかると、ゆっくりと唇を離したけれど、隙間を埋めるみたいに、も一度キスを上書きされそうになる。慌てた私は、ぺちと彗の口を手で覆ったの。

彗は「なに?」と言いたげに無機質な目で私を見やる。

こっ、これ以上はドキドキするからダメ。

とっくにキャパオーバーだし、ふみには刺激が強すぎて身が持たないのです。頭も体もふわふわする。

もう、キスはお腹いっぱい。

だから、ここまで。


「キスは一日3回まででお願い…しま、ひゃっ」


言いかけたところ、私の手は簡単に剥がされてしまい、顎を掬いとられる。

ちゅ、と軽めのキスが悪戯っぽく角度を変えてふたつ落とされた。離れていく瞬間、下唇を甘噛みされた。


「今日の分は終わり」


そう言って乱れた前髪を直すと、最後には後ろ髪を優しく撫でる彗に、ぽわ…と私の視界は夢心地のように揺れたのだった。

わ…っ!なに、あの柔らかくて甘い顔。
不意打ちも心臓によろしくないです。
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