きみは永遠の小悪魔【完】
千景くんのこと気になるのかな。

ほんのちょっと驚きつつも「体調崩してるらしいの」と、おずおず言う。
くるん、と睫毛は上向きに、上目遣いで様子を窺うの。

触れ合う指先はひんやり冷たいのに、心の奥は熱を孕んでいる。平静を保とうと、どんなに『いつものふみ』を演じても、頬は隠すことができないほど、朱色に染まってしまう。

ヘンなの。お付き合いをしても、このふわふわな砂糖みたいな甘い気持ちは、ずっと変わらないのかなぁ。


「“低気圧でしにそうだ”って奏太くんに連絡があってね」

「……………」


ぽやんとなってる私とは対照的に、口を噤む彗は、すんと澄ました態度でいる。

「ん?」と心の中で不思議な声が落ちたけど、半分開いた口からは続きが溢れる。


「バイト代わるみたい……です」

「ふーん。」

あれ……。彗の方から聞いてきたのに全然興味なさそう。どうして?


「ああ見えて、千景くんて子どもの頃、よく熱出して学校休んでたんだよ。だから、心配だったんだけど、奏太くんが見に行ってくれてるし、お兄さんにも連絡したから」

「……へぇ」

んん……?もっと素っ気ない返事されちゃった。思ってた反応と違う。このお話は不正解……?

ついに、ふみの中のふみが混乱し始めた。


「大丈夫、だと思うんですけど。さっき、千景くん、んんっ」


俯き加減だった顔が持ち上がる。顎先をむにと掴まれた。
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