きみは永遠の小悪魔【完】

ふみの憂鬱な夜

彗と恋人になった日の夜は、幸せな気持ちでいっぱいで、浮かれすぎて寝れませんでした。

でも、ふわふわの布団を頭ごと被った瞬間、ぐっすり寝てしまいまして。次の日、1限目の講義に遅刻しそうになったんだ。

慌ただしい朝を終えたその日の午後。
混み合う食堂でお昼ご飯を食べながら、周子ちゃんに伝えたの。

『彗と付き合うことになりました』

誰かが聞き耳を立ててるわけないのに、内緒のお話をするときに喋る小さな声で、こっそりと。


「ええ〜っ!?ほんまに!?」

「…ほんま、だよ?」

「おめでとう、良かったぁ」


私の密かな恋を唯一知っていて、応援してくれた周子ちゃんは目尻を優しく垂らしながら「ふみ、良かったなぁ」と、語尾を緩める。

緊張の糸が解けた私は、口元を綻ばせながら、ふにゃと笑った。

薄ピンクのチークを乗せたはずの頬は、ほんのり紅潮してたはず。昨日の今日も相まって、私の恋心は彼に対する『好き』をつのらせる。

だからこういうとき、どんな顔で周子ちゃんに向き合えばいいのかわからない。
えっへんと胸を張るのもおかしいもん。

恥ずかしそうに黙り込む。結んだ唇の端っこを、もごもごと動かしてたら、周子ちゃんにぎゅうっと抱きしめられた。

「ふみ可愛い〜」って、ひたすら甘やかしてくれたんだ。

迎えに来た彗は、私から離れない周子ちゃんを横目に、ムッとしていたけれど。
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