きみは永遠の小悪魔【完】
「今日は一人?奏太と周子ちゃんは?」

頷いた後、別の質問が飛んできたので、続けて首を横に振った。

周子ちゃんは講義が入ってない日。
奏太くんは図書館から帰るときに偶然会って少しだけお喋りしたんだ。「後輩に用事あるから、オレこっちなんだ。またね〜」と、薬学部の棟がある方向へ走って行った。


「そっかー。じゃ、いつも一緒にいる人もいないの?ほら、あの背が高い…」


そう付け足しながら、自分の頭より少し高い位置で手をひらりと流す。

彗のことかな。こと、と私は首を傾げた。


「いません、けど」

私はその人のお迎え待ちで……。

「ふーん。ラッキー」

「…………(へ?)」

「ふみちゃんさぁ。オレと遊びに行かない?」

「へっ(エ。ドユコト……コンラン)」

「駅前に猫カフェあるんだよ。男一人じゃ入りにくいから一緒にどう?」

夜も近くなる時間、猫カフェの営業なんかしてるわけない、と思う。

ふみ'sルール。
猫様に重労働も残業も許されてないの。
もし、遅くまで開いてるなら、たくさんのちゅーるを献上しなきゃダメだ。

と言うか、誘われても行きません。


「いっ、いいです。人を待ってますので」


ここに至るまでの会話テンポは凄まじく早い。私の返答は“即答”に近かった。男の人から距離を置くべく一歩、二歩と後退りする。

わ…っ。この人、ヤバい人です。
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