きみは永遠の小悪魔【完】
借りて来た猫のよう———

「(じゃなくて透明人間みたいだった、です)」

人並みの感想を、ぽわんと抱えて私は車に乗り込んだ。


手を繋いで訪れたのは、コーヒーを買いに行こうとしてたカフェで、二人の時間をゆっくり過ごせたのは片手で数えれる時間ほど。

つまり1分少々でした。

彗といるだけで視線が集まり、いろんな意味で注目を集めてしまったのだ。

店員さんも、周りのお客さんも、彗の整いすぎたな容姿や佇まいに夢中になっていて、私の存在には気づいていなかった。

だからね、見かねたオーナーさんの気遣いのおかげで、人目につかない奥のテーブル席に案内されたの。


彗が注文に行ってる間、ハンドクリームをたっぷり塗ったり、両手でちょこんと頬杖をついて3分も経ってないのに、戻って来るのが待ち遠しく感じてため息を溢したり、最後は項垂れながらモヤモヤの退治方法について考えてた。


今度のデートは変装を提案してみようかな。

ダサダサな眼鏡を掛けてみませんか?いつもの素敵なスーツ姿では来ないでねって、お願いするのはどうかなぁ。

あ、でも私服も素敵だったらどうしよう。それはそれで、私の心臓がいろんな意味で持たないからよろしくないです。


《デートのお誘い兼お願い》


ふみの秘密メモへ付箋をぺたっと貼った。
< 71 / 98 >

この作品をシェア

pagetop