きみは永遠の小悪魔【完】
付き合ってから初めて芽生えたヤキモチは、片想中に経験したヤキモチに似てなかった。

可愛い嫉妬の、ゆるふわなくすぐったいものじゃなくて、ぐずぐずと責め立ててくる汚い嫉妬だった。

きっと、私に自信と余裕がないから、心を曇らせるために生まれた塊だと思うんだ。見た目も中身も努力が足りてない証拠。

ポジティブに言い換えれば、もっと素敵な子になれるってことですよね?

早速、今日から良い匂いのするシャンプーを買い揃えて、オレンジブラウンのアイシャドウを新調して、次の休日は大人っぽい服を買ってみることにするの。苦手な運動と筋トレだって挑戦する!

淑女の心得は、お母さんに教えてもらうことにするんだ。

よーし、自分磨き頑張ろう!

項垂れた顔を上げたとき「お待たせしました」と彗の柔らかい声色が私を攫った。

テーブルに並んだのはブラックコーヒーと、マシュマロ入りのホットチョコレートラテ。マシュマロの横に、クマのクッキーが添えられてる。


「わぁ。かわいい。ありがとうございます」

「でしょ?」

「…………あれ?でも…(クマさんのクッキー頼んだっけ?)」

こて、と首を小さく傾げる。

「妬かせてしまったお詫び」

「〜〜っ!」

「俺のこと許す?」

「許すも何も……許します!」

チョロいふみが出来上がってしまった。
彗が片手で頬杖をついて私を眺める。


「他の女に使う記憶容量ないから、不安にならなくていいですよ」
< 72 / 98 >

この作品をシェア

pagetop