きみは永遠の小悪魔【完】
幸せな時間はあっという間に終わりを告げ、私を《久世》の大きな屋敷に帰そうとする。
ひんやり冷たい車内で、重たい腰を助手席に乗せた。シートベルトも締める。
カチッと音が鳴ると背筋が伸びた。両手はフレアスカートの上にお行儀良く乗せる。
盗み見た運転席の彗は、恋人からボディガードの表情に切り替わってるんだ。
窓の外を眺める凛とした横顔が素敵。かっこよくて無駄が一つもない。
…ワガママが許されるなら、もう少し一緒にいたいです。……家に帰るのがヤダな。
———と、彗がポケットからスマホを出した。「はい」と淡々と静かな声が鼓膜に流れ込む。
ぱちり。私は一瞬で夢心地から現実に引き戻された。
「パーティーのですか。今からだと20分あれば」
シートベルトを外す彗に、私の視線がゆっくり下がるのは、電話の相手が“偉い大人”だとわかってしまったから。
寂しさを溶かすみたいに前髪を撫でられる。
『ごめん。少し待ってて』
丸みのある、特別優しい声色で私に言った。
彗が離れるときは、決まって仕事に関する内容のとき。今かかってる電話も仕事のことみたいで、私の勘は正解を引き当ててしまった。
人手が足りないから早く戻って来てって言われてるのかも。
彗の背中を追いかけた先、瞳の真ん中を奪う景色は、すっかり濃い宵闇に包まれていて。
周子ちゃんから届いたメッセージで明るくなるスマホの画面。
「あ。もうこんな時間…」
タイムリミットを教える『20:00』の大きな文字に、しゅんとなってしまったの。
ひんやり冷たい車内で、重たい腰を助手席に乗せた。シートベルトも締める。
カチッと音が鳴ると背筋が伸びた。両手はフレアスカートの上にお行儀良く乗せる。
盗み見た運転席の彗は、恋人からボディガードの表情に切り替わってるんだ。
窓の外を眺める凛とした横顔が素敵。かっこよくて無駄が一つもない。
…ワガママが許されるなら、もう少し一緒にいたいです。……家に帰るのがヤダな。
———と、彗がポケットからスマホを出した。「はい」と淡々と静かな声が鼓膜に流れ込む。
ぱちり。私は一瞬で夢心地から現実に引き戻された。
「パーティーのですか。今からだと20分あれば」
シートベルトを外す彗に、私の視線がゆっくり下がるのは、電話の相手が“偉い大人”だとわかってしまったから。
寂しさを溶かすみたいに前髪を撫でられる。
『ごめん。少し待ってて』
丸みのある、特別優しい声色で私に言った。
彗が離れるときは、決まって仕事に関する内容のとき。今かかってる電話も仕事のことみたいで、私の勘は正解を引き当ててしまった。
人手が足りないから早く戻って来てって言われてるのかも。
彗の背中を追いかけた先、瞳の真ん中を奪う景色は、すっかり濃い宵闇に包まれていて。
周子ちゃんから届いたメッセージで明るくなるスマホの画面。
「あ。もうこんな時間…」
タイムリミットを教える『20:00』の大きな文字に、しゅんとなってしまったの。