きみは永遠の小悪魔【完】
「二人ともこんばんは」

「どーも」
「こんばんは」

「久世さんはさっきぶりだね」


不機嫌な千景くんと対照的で、明るく話しかけてくれた奏太くん。

爽やかな笑みをのせたまま、奏太くんは自身の両隣に座る彗、千景くんに目を配ってやんわり釘を刺したの。


「今日は仲良くお願いしますね?ね、久世さん」

「う、うんっ。お願いしますね…?」

「わかりました」


彗は小さな笑みをすいた。一方、スマホを弄っている千景くんからは、

「こっち見んなって言ってんの」

あ…っ!はぐらかされた……し、聞いてないフリされた。

初めてのケンカから仲直りを経験して、長年積もった苦手意識がなくなったと思ったのに、また振り出しに戻ったみたいで、胸の奥がむずむずする。

「…見てませんよーだ」そう呟いた。

もちろん聞こえない声の仕返し。

二人分の開いた距離にいる千景くんは、奏太くんと話をしていて、私のちっぽけな反撃に気付いてないらしい。

良かった。そのまま気付かないでほしいな。

ちらっと様子を盗み見ていると、千景くんの背中に綺麗な女の子が立った。

肩を叩いて、千景くんが振り向けば「びっくりしたでしょ」と、マスクに隠れた可憐な顔を露わにする。

千景くんの知り合い?
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