きみは永遠の小悪魔【完】
あの日、お兄さんから電話口で『ふみは、証拠隠滅しなきゃね。千景にバレたら怖いよ』と笑われた。誤魔化す方法を教えてもらったのに、2ヶ月経った今日、白状しているの。

無事、証拠隠滅は失敗に終わりました。

……千景くん、怒ってる?

冷風に攫われ、ふわっと揺れた前髪の隙間から、見えそうにない表情を探る。

カールのかかった睫毛を、めいっぱい上げて。
……あ。瞼に毛先が触れた瞬間、ブラウンがかったアーモンドアイに見つかっちゃった。ぽかん、と私の唇が薄く開く。


「でも、俺は死んでないだろ?」

「……うん」

『ふみ、相変わらず大袈裟だな』の意味だ。

「今度、しんどくて死にそうになったら、ふみが俺んち来てよ」

瞬きを繰り返す双眸が、ようやく落ち着いた。

「いっ、いくら幼なじみでも、その約束はできないよ(浮気になっちゃう)」

「は?なんで。今、指きりした」

「えっ…わぁ。ウソ!?」


いつの間にか千景くんと小指が結ばれていた。「わ〜〜っ。きゃ〜〜っ」と急いで離せば、千景くんに「うるせー」と、呆れられる。


「別の子に頼んで?奏太くん、周子ちゃんか。彼女、とか」

彼女はいないって言ってから、違くて。

「あの、あの……っ。好きな子いないの?」

「ずっと追いかけてる子はいるけど、他に女はいねえよ」

「……………はい」

「俺、こう見えて案外、一途」

あれ……なんか、おかしな方向に。
千景くんの顔、赤い……。
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