きみは永遠の小悪魔【完】
千景くんの吐いた白い息が空気に溶ける。見上げて眺めていたら、頬を軽く引っ張られた。


「俺さ、ふみに対する愛し方、間違えてたわ」


肌を包む冷えた指先は、だんだん熱を孕み、それはゆっくり離れる。

ピアス開けないでね、と胸中で呟いた声は、眉尻を下げた頼りない表情に浮かんでいたのか、千景くんに拾われたのだ。


「もう、増やさねーよ」
.
.
証拠隠滅はできず、帰りの車の中で白状した。


「気づいてなかったの、ふみさんだけですよ」

えっ。彗、気づいてたの!?

「あんた、どんだけ鈍いんだよ」

「ご、ごめんね」

肩口に彗の頭が乗っかった。固まって動かない私の首筋から、ふわりとシトラスの香りが舞う。


「……ヤキモチ?……怒ってる?」

「ん。がっつきモードなだけ」

らしいです。

いつもより長く、ぎゅっと彗に抱きついた。
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