はじめての恋はキミがいい!(マンガシナリオ)

4話

○駅のホーム〜電車の車内(朝)

紬、緊張した表情で電車を待つ。
前髪はスッキリし、メガネはかけているがマスクはつけていない。

紬のモノローグ【もう納豆女は卒業したんだ。大丈夫、絶対大丈夫。そもそも、この前までの私と今日の私が同一人物なんて先輩は気づかないかもしれない。いや、気づくはずがない!だから緊張する必要なし!!】

電車が到着し、車内に乗り込むといつもと同じ位置に冬哉が立っている。
紬を見て目を丸くする。
紬がいつも通り会釈すると、思い出したように冬哉も会釈。

紬のモノローグ【知らない女に会釈されたらビックリするよね】

紬がふと冬哉の方を見ると、冬哉は紬の方をずっと見ている。
紬が嬉し恥ずかしそうに微笑むと、冬哉は下を向く。

紬のモノローグ【気づいてる……?いやまさかね。もしかしてどこか変かな?】

紬はスマホで前髪やメイクを確認する。


○駅・ホーム(朝)

電車が到着し、冬哉と紬が降りる。
冬哉「あの!」
紬はドキッとして立ち止まる。
冬哉「急に話しかけてすみません。いつも同じ電車に乗ってる子……だよね?」
紬「は、はい」
冬哉「こんなこと急に言われてもびっくりすると思うんだけど……」
紬がゴクリと唾を飲み込む。
冬哉「髪とかすごく似合ってる!俺オシャレとかよく分かんないけど、これだけどうしても伝えたくて。すいませんいきなり変なこと言って」
紬の顔がパッと明るくなる。
紬「ありがとうございます!」


○駅・改札(朝)

改札の前でも立ち話を続ける紬と冬哉。
冬哉「俺3年の鈴木冬哉」
紬「1年の一ノ瀬紬です」
冬哉「じゃあ郁也と一緒だ。弟なんだけど、知ってる?」
紬「はい!実は髪とかメイクとか全部、鈴木くんに教えてもらってるんです」
冬哉「え、郁也が⁉︎」
紬「はい!」
そこへ千夏がやってくる。
千夏「おはよー冬哉。その子は?」
冬哉「1年の一ノ瀬さん。郁也と同じクラスなんだって」
千夏「(天使のような笑顔で)初めまして、三浦千夏です」
紬「初めまして!一ノ瀬紬です」

紬のモノローグ【やっぱりキレイだなぁ】

千夏「行こっか」
冬哉「うん」
千夏「またね、紬ちゃん」
冬哉「また」
並んで歩き出す冬哉と千夏。
2人を見送った紬の元に郁也がくる。
郁也「おはよ」
紬「鈴木くん!おはようございます」
郁也「兄貴と話せてたな」
紬「(照れながら)似合ってるって言ってもらえました」
郁也「マジ?」
紬「お世辞だってことは分かってます!それでも褒めてもらえると嬉しいですね」
郁也「お世辞じゃないと思う」
紬「え?」
郁也「そもそもアイツ女子の変化とか疎いし。千夏が髪切っても気づかないくらいなんだよ。だから、似合ってるっていうのは冬哉の本心だと思う」
紬「(嬉しそうに)だったら嬉しいなぁ」


○高校・教室(朝)

教室の前で立ち止まる紬、深呼吸をする。
郁也「先入ってるな」
郁也は紬の肩を軽くポンとして先に中に入る。

紬のモノローグ【鈴木くんに手伝ってもらってばかりじゃダメだ。自分から変わろうとしないと】

紬「(明るく)おはようございます!」
と、思い切って教室の中に入る。
女子たち「お、おはよう……?」
女子1「(ヒソヒソと)あの子誰だっけ」
女子2「(ヒソヒソと)さ、さぁ?」
男子1「(ヒソヒソと)あんな可愛い子いたか?」
男子2「(ヒソヒソと)お前話しかけてこいよ」
紬が自分の席に座ると、クラスメイトが一斉に集まってくる。
男子1「一ノ瀬さん!?」
女子1「イメチェンしたの!?」
女子2「超似合ってるよカワイイ〜」
これまで人が集まってきたことがなかった紬は、あわあわしながら郁也の方を見る。
郁也がグッドマークをつくる。
紬は口角を上げて頷く。


○通学路(放課後)

紬と郁也が並んで歩く。
郁也「紬、超人気者だったな」
紬「あんなに人と喋ったの久しぶりでした」
郁也「よし!じゃあアイスでも買ってお疲れ様会しよ!」
紬「はい!」


○公園・ベンチ(放課後)

ベンチに座ってアイスを食べる紬と郁也。
郁也「んま〜!糖分が脳に染み渡る」
紬「あの、一つ聞いてもいいですか?」
郁也「ん?」
紬「今さらなんですけど、鈴木くんはどうして勉強を頑張ろうって思ったんですか?」
郁也「んー……紬と仲良くなりたかったからかな」
紬「もう、からかわないでください!」
郁也「ほんとだって!」
紬「え〜?」
と、疑う。
郁也「紬アイスついてる」
紬「え⁉︎」
紬が全然違うところを触る。
郁也「ストップ。ちょいそのままね」
郁也が紬の手を上から握り、顔を近づける。

紬のモノローグ【え……えっ⁉︎】

咄嗟に目を瞑る紬。
しかし気づいたら郁也に握られた自分の指で唇の端をなぞっている。
郁也「よし、とれた」
紬「(目を逸らして)ありがとうございます……」
郁也「(ニヤッと)もしかして別のやり方の方が良かった?」
紬「(真っ赤になって)そ、そういうところですよ鈴木くん!」
郁也「(確信犯)えぇ〜?俺バカだから説明してくんないと分かんないよ」
と、紬の顔を覗き込む。
紬「なんでもありません!」
と、顔を逸らす。

紬のモノローグ【もー!静まってよ私の心臓……!】
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