恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 だから、これはそんな私の傲慢さに対する、報いなのかもしれない。

 水面に映る数字。これは、自分が可愛い証拠だ。

 ……私は自分を優先して、レンブラント様には何ひとつ本音を言えていない。

 『70』からゆっくりと、ひとつひとつ下がってしまう数字。当然だ。本当に嫌になる……こんな、情けない自分。

「ふふふっ……うっ……ううっ……」

 そんな自分がとても情けなく思えて泣けて来てしまって、私は両手で顔を覆った。

 今現在、自分が泣いている場合でもないことは、痛いくらいに知っていた。

 もし、顔を変えることの出来る能力(ギフト)を持つナターシャ様からの被害を訴えるならば、現行犯で捕まえてもらうしかない。

 誰かにこれを伝えるならば、こんなところで泣いて時間を無駄にしている場合ではない。

 けれど、どうしても足に力が入らない。

 それに、こんなずぶ濡れの姿で、王族であるレンブラント様に会える訳がない。もう一度あの部屋に戻って、服を整えなければ……。

 泣いていた私は、突然ザバっと聞こえた水音に驚いて顔を上げた。

「リディア……これは、一体どういうことだ?」

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