恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 そこに居たのはなんと、私が会いに向かおうと思っていたレンブラント様だった。彼は濡れることなんてお構いなしに池の中に入り、躊躇なく私に近づいて来た。

「レンブラント様。いけません。降ろしてくださいっ」

 水に浸かったままだった私は抱き上げられたのだけど、レンブラント様が着用されている豪奢な服が濡れてしまうと思った。

 王族である彼は何人かの護衛騎士を連れて歩いていたようだけど、彼らも慌てていてありえない事態に驚いているようだ。

「……いいや、駄目だ。これは、誰にやられた? 突き落とされたのか。今日あったケーキの件だってそうだ。リディア。犯人に目星は、付いているのか?」

 イーディスが見たと言っていたレンブラント様の怒りの表情を見て、私は驚いて何も言えなくなった。

 とても……怒っている。けれど、それは婚約者である私のために。

 唇を結んだままのレンブラント様は長い足で橋へと登り、自分の宮へと戻るために歩き出した。

「……あの」

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