恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 失態続きになってしまったのは、私の方なのだ。公然と宣戦布告されて、ケーキ塗れになり、池にまで落とされた。

 相手が企んだことだろうと言われればそれまでだけど、私だって引っかかってしまうことを防ぐことは出来たはずなのに。

「謝ることなど、何もない。しかし……何があったんだ。リディア。詳しく教えてくれないか」

 強い怒りのせいか感情がすっかり昂ってしまっているレンブラント様は、いつもの素っ気ない態度など、どこかに行ってしまったのか、問い詰めるように早口だし……それに、ふと目についた彼の頭上にある数字。

 これは、見えるようになった日から変わらずに、最高値『100』のまま。

「あの……レンブラント様。私、お伝えしたいことがあるんです」

「どうした。リディア。言いにくいかもしれないが、犯人さえ教えてくれれば僕がどうにかしよう」

「いえ。違うのです。そうではなくて……」

 私たち二人はきっと、これを伝えるところからでないと、進めない。

「そうではない? どういうことだ?」

 不可解そうな顔のレンブラント様にぶつけるように、私はずっと言いたかった言葉を口にすることが出来た。

「私はレンブラント様の事が、好きなのです。誰にも取られたくないと思いました」

「……え?」

 早足で進んでいたレンブラント様は立ち止まり、私の顔を見つめた。

 まさか、こんな状況で私からの告白を受けるとは夢にも思っておらず驚いているようだ。

 これまで私が一定の距離を保ち彼に接していた事を考えれば、それも仕方ない事だと思う。

 やっと言えた。本当の気持ち……これまで本当に、長かったけれど。


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