恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「その通りです。まさか、レストランがあのような特別な理由で、貸切りになっているとは思わず……大変失礼しました」

「いや……変だとは思ったんだが、アンドレが裏でリディアに情報を流していたとは……僕が何も知らず過ごしていた内に、リディアの周囲では、いろんな事が起きていたようだね」

 レンブラント様は苦笑していて、私はそんな彼の手を取った。

「ごめんなさい。レンブラント様。私は貴方を誰かに取られると思えばどうしても我慢出来なくて、それは絶対に嫌だと思ったんです……けれど、これまでは自分の気持ちを伝えることもせずに、一定の距離を保ってくれるレンブラント様に甘えていました」

「リディア……」

 レンブラント様は名前を呼んで、私の事を抱きしめた。

 私は大きくて温かな身体に抱きしめられて、もう何も心配することはないと、そういう安心感を覚えていた。

 長い間、婚約者同士だったと言うのに私たちは初めて、この時に互いの思いを通じ合った。

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