恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 これまでずっと悩んでいた誤解がすっかり解けてしまい、どこか夢見心地になっていた私は、レンブラント様にそう問われて何も考えずに微笑んだ。

「君を……池に突き落とした相手って、誰なのかな?」

 質問をしてにっこりと微笑んだレンブラント様。すっごく優しそうな笑みだし、私への好感度は下がっていない。

 けれど、優しい笑顔なのに何故か……鬼気迫るものを感じて怖い。

「それは……その」

 私は言って良いものか悩んだ。だって、レンブラント様は……私にあった事を聞けば、どう思うか。これまでを思えば、簡単に予想がついてしまう。

 これは、ジャイルズ公爵家とダヴェンポート侯爵家、二家の貴族間の問題でもあった。

 私がナターシャ様がした悪事を、ここで訴えたとする……レンブラント様は、決して婚約者に無法な事をした彼女を許さないだろう。

 もしかしたら、大事になってしまう可能性が高い。

 けれど、私がナターシャ様に隙を見せたと言えば、その通りなのだ。彼女から見れば自分の方が婚約者に相応しいと思われるような振る舞いをしていた。反省点はある。

 そんな女同士の争いに、王族であるレンブラント様を巻き込んで良いものなのか……。

 こくりと喉が鳴った。

 池に落とされたという被害をここで訴えることは、その事自体は簡単ではあるけれど、これまでの経緯を考えれば、それほど簡単な問題でもなかった。



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