恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 気持ちに負けて誰かを池に落とすなどは、絶対してはいけない行為だとは思う。

 ……私には絶対に非がないと言い切れれば、すぐに報告していたかもしれない。

 けれど、そうではなかった。

「リディア。それは……」

 『彼女』が誰であるかをわかっているレンブラント様はだからと言って、許されるという訳ではないと言いたいのかもしれない。

「私側の勝手な気持ちで、婚約者のレンブラント様には一定の距離を保っていました。それを見ていた彼女とて、自分ならばそんなことはしないと不満があったという言い分だってあるでしょう。私にだって悪い部分があるのです。面白くないと思われた気持ちは理解出来ます。この程度のことで、公にしたくはありません。ですから、これは私と彼女が解決すべきことと思いました」

 私が彼の目を見てキッパリと言い切ると、レンブラント様は困ったように微笑んだ。

「君は……思慮深く、本当に素敵な人だ。リディア・ダヴェンポート侯爵令嬢。もし良かったら、将来、僕と結婚して貰えますか?」

 幼い頃から約束している事を確認するかのように恭しく手を差し出したので、私は微笑んでその手を取った。

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