恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「おはようございます。殿下。リディア様。清々しい、とても良い朝ですね」

 彼らしくそつなく挨拶しにこやかに微笑んだので、私たちは顔を見合わせて微笑んだ。

「……おはよう」

「おはよう。アンドレ」

「殿下が急ぎでと調査させていたあの件ですが、神殿から早馬の返信がありました……ジャイルズ公爵令嬢は、顔を変えることが出来る能力(ギフト)を与えられた訳ではなく、本来は狭い範囲に自分の望む絵を書けるだけのもののようです。一定期間が経てば、消えてしまうというもので」

「ああ……なるほど。彼女は顔を変えている訳ではなく、自分の顔をキャンパスに見立てれば、それも可能なのか」

 好きな絵を描くことが出来るとなれば、それは、化粧で顔を変える事と同じなのかもしれない。

 身だしなみの一つとして化粧は常にしているけれど、化粧をすれば自分だって驚くほどに変わってしまう。それを自由自在に出来るというのなら、顔が別人になってもおかしくないわ……。

 つまり、一瞬で化粧を施していただけだったのね。

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