恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 私はジャイルズ公爵家を潰してしまうことは望んではいないし、レンブラント様だってそうだろうと思う。

 けれど、ナターシャ様がしたことが全て公に明らかになれば、それは避けられないことだった。

「僕はナターシャ・ジャイルズの能力(ギフト)を王家の権限を持って封じようと思う。リディア。それで構わない?」

 能力(ギフト)は一生にひとつだけ。十七歳の誕生日に与えられるのみ。

 レンブラント様はそれを封じることで、彼女への罰にしようと私に提案した。

「……わかりました。確かに犯罪に使用されかねない能力(ギフト)だと思いますし、それが彼女本人のためだと思います」

 レンブラント様は私の言葉に頷いて、アンドレに視線で何かを命じた。


◇◆◇


 私は指示通りに、夜会中に会場から抜け出し一人で廊下を歩いていた。

「……ダヴェンポート侯爵令嬢。ごきげんよう」

 呼ばれて振り返った私は、驚いてしまった。その時に、目の前の人物が一瞬にして違う顔になっていたからだ。
 ……好きな絵を描ける能力(ギフト)。素晴らしいものを与えて貰っているはずなのに……どうして、こんな事を。

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