恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 ……彼のこんな表情、初めて見る。私に冷たい態度を取っていた時にだって、見たことはなかった。

「ああ。レンブラント殿下! 私は……私は」

「僕の祖先が与えた能力(ギフト)を使って、犯罪はいけないね……返してもらおう」

 彼がそう言った時、ふわっと光がナターシャ様を包み、そして消えた。

「えっ!?」

 何が起こったのか分からなかったのか、ナターシャ様は驚いて呆然とするばかりだった。

「これは、秘されていることなんだが、白の魔女の子孫には、いくつか出来る事があるんだ。国民から能力(ギフト)を取り上げることだって含まれている」

「嘘……もしかして、もしかして……これで?」

 信じ難いと震える声。国民全員に授けられる能力(ギフト)なのに、彼女はそれを失ってしまった。

 ……白い魔女からもらった、人生でたったひとつの|贈り物(ギフト)だったのに。

「残念だけど、もう顔は変えられないよ。僕の婚約者の希望で、これは公にすることはないが、君は一生あの能力(ギフト)を使うことは出来ない」

「いやぁ! どうして! 酷いです……私は、何もしていないではないですか!!」

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