恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 レンブラント様は外見も中身も申し分ないけれど、もし彼がイーディスに対するエミールのように押しまくる男性であれば、ここまで好きにはなれなかっただろうと言い切れる。

 だから、婚約者だから仕方なくといった決められた義務の遂行のように、淡々と私に接してくるレンブラント様に、いつも背筋がぞくぞくするほどにときめいてしまう。

 それは、年頃の女の子としては変わっている感性であることは私だって重々わかってはいるけれど、実際にそうなのだから仕方ない。

 彼のことは好ましく思っているけど、向こうから熱烈に愛されることに抵抗がある。

 甘やかされることこそが愛情表現だと思っているイーディスはじめ、同じ年齢の女の子たちには理解してもらえない感情だろうし……なんとも、説明しがたい複雑な思いなのだ。


★♡◆



「……リディア! 帰って来たのか!」

 ダヴェンポート侯爵邸に辿り着き、馬車から降りた私を迎えに出ていた父が両腕を広げている姿を見て、私はうんざりとしてしまって、ついさっき降りたばかりの馬車の中に戻ろうかと思ってしまった。

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