恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜

25 真相(Side Rembrandt)

「……リディア。悪いが、僕はもうそろそろ行くよ」

「あ……はい」

 ダンス終わりにそう言うと、顔を赤らめた婚約者リディアの周囲にぶわっと光が舞ったので、この冷たい態度と平坦な口調をとても気に入ったものと思われる。

 これの……何が、そんなにも良いんだろうか。いつも通り不思議に思う。

 彼女に背を向けて立ち去りつつも、僕の心は釈然としない思いで溢れていた。

 リディアが喜ぶのなら、そうしてあげたい。だが、別に僕は冷たい態度を取りたいという訳でもなかった。

 僕たち二人は将来を約束された婚約者なのだから、ダンスの後も寄り添って歓談してもおかしくないと思う。彼女がこうして放っておかれる事を望むのだから、それに従うべきだとも。

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