恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 ……そうは思うのだが、心中はいつも複雑だった。

 僕は親に決められた婚約者のことが好きで、将来結婚するのならば、そんな彼女と婚約出来ていることを喜ぶべきだ。

 リディアに好かれたい。ならば、僕のこの行動は正解だ。

 けれど、僕自身がこうしたいと望んでいる訳ではない。

 多忙な中、せっかく会えたのだから、ゆっくりと話をしたい。これは、僕の希望だった。

 けれど、リディアはそれを望んでいない。

 リディアは僕という婚約者には、冷たい態度で接されることを望んでいる。彼女にとってそれが良い事か悪い事なのか、僕には見ればわかってしまう。

 彼女を取り巻く、その光の総量で。

 僕にときめくと光が舞うという能力(ギフト)について、たまに疑問に思ってしまう時はある。心の内を具現化するなんて、どういった原理なのだろうと。

「……レンブラント様。リディア様の元で、歓談されたりしないのですか?」

 侍従アンドレがどこからか現れ、僕にそう囁いたので、ため息をついて答えた。

「僕は別に自分が望んで彼女から離れている訳ではない」

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