恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 僕の能力(ギフト)についての事情も知りつつ言ったことだと思うので、アンドレももちろん理解していると思うが。

「それでは、リディア様に全ての事情を話して、正直に伝えればよろしいではないですか……それは、いつかは必ずせねばならないことですよ」

 真面目なアンドレは最近、リディアについての小言が増えて来た。最近、多忙過ぎるせいもあるかもしれない。

「……リディアは、僕のことを好きなのだろうか」

「間違いなく、お好きですよ。早く打ち明けられてください」

 アンドレはさっさと打ち明けろと何度も僕に諭したのだが、僕はそれには頷かなかった。

 そうするべきだと思うが、現状を変える勇気が出なかった。



★♡◆



 ……今思うと、あの時のアンドレはリディアから脅されていて、自分に火の粉が降りかかるのを恐れて、二人の問題をさっさと解決したかっただけなのだろう。

 飄々とした態度で執務室に入室したアンドレが差し出したリディアからの手紙を受け取り、午前ずっと働いていた僕はそろそろ休憩することにした。

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