恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「お二人も、仲睦まじい様子で……本当に良かったですね。私もほっと……一安心しております。レンブラント殿下」

 ついこの前に、双方の誤解は解け、僕たちは普通の婚約者と言える関係性になっていた。

「アンドレ……今回は特殊な事情があったから許すが、本来ならば極刑だ」

 侍従が王族の情報を漏らすなど、本来ならばあってはならないことで、それはこのアンドレだって重々に理解しているはずだろう。

 だからこそ、僕に何度も何度も、リディアに打ち明けろと諭していたという訳だ。

「ええ。わかっております。私だって、本当に心苦しかったんですよ。近くの部屋から覗かれているにも関わらず、早くリディアに会いたいと仰る殿下のお言葉を聞き流すのは……」

 アンドレは胸に手をあてて胸が痛いと言わんばかりの態度でそう言ったが、僕は聞き捨てならない言葉が気にかかり、先ほど渡された手紙を開けようとしていた手を留めた。

「待て。リディアが、僕の部屋を覗いていたと……?」

 リディアは育ちが良い貴族令嬢だ。王族の婚約者として、礼儀作法立ち振る舞いだって完璧だ。

 ……そんな彼女が、覗きを?

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