恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 あまりにも想像が付かない光景に、僕はアンドレに確認するように聞いた。

「ええ……これは、お聞きになっていないですか? リディア様は近くの部屋から、レンブラント殿下の部屋を数日間覗かれておりまして、女性の影がないか確認されていたのです。まったく何もない訳ですから、ただ殿下の執務中のお姿を覗かれて終わった訳ですけれども」

 思わず窓を見たものの、もちろん、そこにリディアが居るはずもない。

「それは……確かに、聞いていないな。事前にそう言ってくれれば、部屋に椅子を準備させたのに」

 多忙な執務中であっても彼女がすぐ近くに居るとなれば、やる気も出て来ると思うのに。

 そんな訳にもいかないだろうと、アンドレは呆れた表情で肩を竦めた。

「ああ。お二人とも、とても仲がよろしいようで何よりでございます……さっさと結婚式をあげられたら、よろしいのでは? 殿下のお兄様がたも、そろそろ身を固めそうですし」

「……悪くない」

 順番を考えれば、アンドレの言うとおり兄二人の結婚を待つことになるのだろうが、三番目の僕はいずれ王家を出て臣下として公爵位を賜るだろうし、先に王家を出ても良いかもしれない。

「そうしてください……周囲の心の平安のためにも……」

 アンドレは大きくため息をつき、これまでにあった心労を僕の前でとくとくと語り始めた。

< 134 / 140 >

この作品をシェア

pagetop