恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「いいえ。レンブラント様がご多忙であることは、私だってよくよく理解しております」

 数日間尾行し、彼の多忙ぶりをこれでもかと目の当たりにしていた私は、そう微笑み首を横に振った。

 十七歳の誕生日から誰かを見れば頭上に数字が浮かんでいたのだけど、今はその数字はなかった。私はついこの前に神殿で購入した能力(ギフト)抑制の腕輪を付けているからだ。

「どんな因果なのか……来て欲しくない時に限って、面倒な事は起こるものだ。君と会う約束をしている時は、特にそうだ。これまでにも何度も、こういった経験はある」

 レンブラント様はうんざりした様子で肩を竦め、淹れ立てのお茶を飲んだ。

 二人の誤解がすっかり解けてしまってから彼はもう私に対し、冷たい態度を取ることがなくなった。隠すことなく愛情を表現してくれるし、言いたいことを素直に言っているようだ。

 当たり前のようなことだけど、そんな彼の態度がすごく嬉しい。

「……大変ですね。少しでも休めれば良いのですが」

「ああ……アンドレはさっさと結婚式をすれば良いと言って居た。リディアはどう思う?」

「え!」

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