恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 全てを写本するにはかなり大変そうな分厚い本が乱暴な扱いに無事に持ち堪え、それに安堵した私はほっと息をついた。

 そして、神官が教えてくれた能力の内容を、ここでようやく頭で理解することが出来た。

 ……『恋愛指数』ですって?

 何かしら。これまでには、聞いたことのない単語だわ。

「恋愛指数? それは、どういった数値を示すものなのかしら?」

 貴重な本が破れてしまわないか心配で、本題とは別のところに意識が飛んでいた私を不思議そうに見て居た神官へ問いかけた。

 落ちかけた眼鏡を再度直す神官の頭上には『60』という、まるで手書き文字のような可愛らしい数字がふよふよと浮かんでいた。

 あ……そうそう。

 今日、誕生日の朝に起きた時から見えていた。この数字は何なのだろうと、これまでにとても不思議だったのよね。

 だから、この神殿での能力(ギフト)判定を、すごく楽しみにしていた。

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