恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「……いえ。リディア。それって、レンブラント殿下が愛人を隠すことが、単に上手いだけだった訳ではないかしら? それにしても、不思議ね……彼はこれまでに女性問題を起こしたこともないというのに、リディアに対し冷たい態度を取るとは言え、変な言い方になってしまうけれど、婚約者に一途な方だと思っていたわ」

 冷たい態度だけれど、婚約者に一途……そうなのだ。私だって、きっとそうなのだろうと思って来た。

 けれど、それは彼の頭の上に浮かぶ恋愛指数が違っていると証明してくれていた。

 私は単に決められた婚約者で、彼には他に違う女性が居る。

 それはもう、事実なのだ。私は黙って受け入れるしかない。

 その時、まるで重い鉛を飲み込んでいるような、妙な感覚がした。

 ……ああ。将来結婚するレンブラント様には、私とは違う最高に愛している女性が居る。

 その事実が、どうにも受け入れ難い。

「……レンブラント様には、私とは違う女性が居るのね……?」

「リディア……」

 唇からぽつりとこぼれた問いかけに、イーディスは言葉を失って項垂れた。

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