恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜

06 浮気調査

「ただいま帰りました」

「……リディア! 帰ったのか! おかえり!」

 夜会帰りの妹に駆け寄り抱きつこうとした兄をサッと避け、私は階段へと上がった。

 完全無視されたのにも関わらず、まだ階下で何か言っている兄のジョセフは、妹の私を猫っ可愛がりして愛している事を隠さない。

 私だって家族愛が強いことはとても良いことだと思うけれど、我がダヴェンポート侯爵家の父と兄はどう考えても愛情表現が度を越している。

 だから、私はそういう彼らとは正反対の態度を見せる男性、レンブラント様に惹かれるようになってしまったのも仕方ないことだと思う。

 私が自室へと入れば侍女たちが心得たようにドレスを脱がせ、湯浴みをするために浴室へと導いた。

 温かなお湯が溜められた湯船に浸かり、髪を優しい手つきで洗われながら、ふうっと大きくため息をつく。

 レンブラント様には、他の女性が居る。それは事実だ。

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