恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「はい。えっとですね……こちらの能力は、ですね。それぞれの恋愛指数が数値化されて、頭上に見えるそうです。えっとですね。僕の頭にも恐らくあると思うんですけど……こちらが……ですね……えーと……少々、お待ちください」

「……ええ。そうね。貴方にも、確かに数字があるわね」

 分厚い本に書かれた小さな文字を必死で読んでいる彼は『神官に成り立てです』と、顔に書いているような挙動不審な落ち着きのなさだった。

 私は本日、十七歳になったばかりなのだけど、彼が神官のお仕事をこの先上手くやっていけるのかしらと、とても心配になるわ。

 出来れば、もう少し、落ち着いた方が良いと思う。

 本人だけでなくて、こんなにも慌てている姿を見れば、周囲の人だって理由もなく焦ってしまうと思うもの。

 そうなのよ……本当に、大丈夫なのかしら?

 何度も掛けていた眼鏡を机の上に落としているし、ページを何回も開き直しているわ。

 古くて貴重な本だろうに破れてしまわないかと、手伝う事も出来ず見ているしかない私には心臓に悪い。

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