恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 そう思い至るほどに、婚約者のレンブラント様が好きであることに、この時に私はようやく気がついたのだ。




★♡◆



 白の魔女が造ったとされる王城は、白亜の石造りで、晴れの日には明るい日光を弾いてきらめきまぶしい。

 色々と覚悟を決めた私は、城の中を颯爽と歩いていた。しかも、本来ならばあまり出入りすることのない執務棟へと向かっていた。

 廊下には急ぎ足の文官や、書類の束を持ちどこかへと運んでいる女官が歩き、仕事中の彼らの中でドレス姿の私は場違いだと思う。

 けれど、そんな些細な事を気にしている場合でもなかったわ。

「ああ……リディア様! こちらにいらっしゃるなんて、とても珍しいですね。本日は殿下と、何かお約束がありましたか? 私がお聞きしていたご予定にはございませんでしたが、ちょうど今殿下は仕事の合間でして……もし良かったら、ご一緒にお茶でもいかがでしょう」

 偶然、私を見掛けたらしいレンブラント様に仕える侍従アンドレは流れるような滑らかな口上で、主であるレンブラント様が今何しているか会えるなら会えるという事を数秒で伝えて来ようとしていた。

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