恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 けれど、ここで私が婚約解消すると言わせてしまえば、彼の立場がなくなってしまう。

 涙目になり両手を組んで祈るような体勢だけれど、私はそれを冷ややかに見つめ、彼の言い分は聞く気はないと示した。

 可哀想だけど、アンドレにしか頼めない。

「だって、アンドレは私にレンブラント様の予定を、敢えて隠しているってことでしょう? それなら、浮気相手を隠していないという証拠はどこにもないもの」

 無理矢理な理屈だし、アンドレは忠実な侍従として役目を果たしているだけだ。私はそれを利用している酷い女だと自覚はある。

 私だってお互いに程良い距離を保っていたレンブラント様のことでこんなにも必死になれるなんて……これまでに思いもしなかった。

 私たち二人はしばし見つめ合い、根負けしてしまったのは、最悪の事態を想像し涙目のアンドレの方だった。

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