恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 彼らを観察している私は事前に予約で目立たない場所に席を取り、いつもより地味な装いで、異国の言葉を使い偉そうな態度の外交官とそつなく話すレンブラント様を見つめていた。

 ……まあ。私の婚約者って、本当に姿だけではなく、とても格好良いのではないかしら。

 婚約者と言えどレンブラント様の仕事中の姿を見る機会など、これまでになかったので、私は感心しながらその様子を見つめていた。

 声は聞こえないから、彼らがどのような会話をしているかわからないけれど、何かしら、先方が時折偉そうに振る舞っていても、さらりと流してにこやかに話していた。

 私はそんな彼を見ているだけなのに、胸が痛んでしまった。

 だって、あの素敵な人は私に冷たくて……誰かには、とっても優しいのかもしれないと思うと……。

 美味しいはずの料理も喉を通らず、給仕に心配されながら、私はデザートを食べていた。

「……リディア? 偶然だ。君もこの店が好きだとは知らなかった」

 不意に聞こえた声に、私は俯いていた顔を上げた。

 そこに居たのは会談が終わり、相手の外交官を送り終えたレンブラント様だった。

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