恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 レンブラント様のことを尾行していたけれど、こうして、見つかってしまう可能性を考えていなかった私は慌てた。

 どうして? 顔がわからないように大きめな帽子を目深に身につけているし、髪型もドレスだっていつもとは全然違うものなのに。

「いっ……いえ! え? いえ。そうです。気になっていて……やっと来る事が出来ました」

 慌ててしまった私が周囲を見回せば、レストランは食事時を過ぎてしまったからか、沢山居た客がだいぶ減ってしまっていた。

 ……いけない。人が減ったから、私の事に気がついたのかもしれない。

「言ってくれれば良かったのに。今日はこの店は貸し切りをしていてね。君の名前で予約があったと聞いて、僕が特別に許可を出したんだ」

 レンブラント様は私の前の椅子へ腰掛け、こちらへとやって来た給仕に何も要らないことを示すように手を振っていた。

「え……? ですが」

 先ほどまでこのレストランの中は盛況で、貸し切りをしていたとは、とても思えなかった。

 ……しかも、私の名前で予約をしたと聞いて、許可を出してくれたですって?

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