恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 状況が掴めず目を瞬かせていれば、レンブラント様は何を考えているか心得ていると言いたげに頷いた。

「会談相手の希望なんだ。このレストランを指名して食事したいと言われたんだが、客が僕らだけでは寂しいと言う。なので、客を装った人員を相当数用意した。つまり、僕たちと君以外は、全て警備担当者だった。驚かせてすまない。リディア」

「……! そうだったのですか」

 先ほど私だって暗殺の危機がある王族が居るというのに、重要な会談の場で一般客がたくさん居るなんておかしいと思っていた。

 けれど、会談相手の希望であるから、それを無理やりにでも叶えたと聞いて、不思議な状況を納得することが出来た。

 相手の希望だって聞かねばならない……大変なお仕事なのだ。

 婚約者である私の誕生日だって、帰りたかったけれど、帰れなかったと何度か謝罪されたこともある。

「ああ。我儘な相手に都合を合わせると、こうなってしまうんだ。仕方ない。国力の差もあり、我が国は無碍に出来ない相手も居る。こうして評判のレストランで会談をしたいと希望されることもあるが、それは叶えられない訳ではないから」

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