恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜

09 見間違い

「……それで、レンブラント殿下をここ数日尾行をしていても、全く収穫は無かったと言うの?」

 ここ最近、誕生日から色々とあった気晴らしにと誘ってくれたお茶会で、私の隣に座っているイーディスは、婚約者の後を尾けていた私にどうだったのかを聞いた。

「ええ。イーディス。レンブラント様って、あんなにも過密な予定をこなしているのだから、彼の誕生日プレゼントは滋養強壮の効果があるものでも贈ろうかしら……」

 主に外交関係の仕事を任されたレンブラント様は本当に多忙で一日の中に、何人と会うのだろうと私だって驚いてしまうほどだった。

 私が脅したアンドレから渡されている予定表には、時間と場所しか書いていなかったけれど、あれは敢えて書かなかった訳ではなくて、数が多すぎて書けなかったのだと思う。

 レンブラント様の主な居場所である城内の応接室に戻った執務中には、ひっきりなしに人が出入りしていたけれど、その中には彼と恋愛関係に陥っていそうな人女性は居なかった。

 文官の制服を着ていた女性は、何人か仕事で部屋に入っては居た。

 魅力的な王子様から最高値に愛されていて、数値が少ないなんて思えないもの。

 イーディスは私の意見を聞いて、呆れて首を横に振った。

「それは、流石に色気がなさすぎるから、やめておいた方が良いわ」

 確かに喜んではくれるだろうけれど、婚約者からの贈り物として、相応しいとは言えないかもしれない。

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