恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「私だって……何も貴方を侮辱したくて、こうして話している訳ではないわ。現に貴女の恋愛指数は下がり続けていて、今では一桁なのよ」

 双方の恋愛指数が釣り合わないという事実に、エミールの事を考えているイーディスの幸せそうな表情が重なる。

 彼女のあんなにも純粋な信頼を裏切ろうと言うのならば、私だって強硬手段に出るしかない。

「それでは、ダヴェンポート侯爵令嬢の能力(ギフト)の内容が間違えているのではないですか? 現に貴女にこうして邪魔されようと、僕がイーディスを愛していることには変わりない。より彼女への想いが増したと言えます」

「……私の能力(ギフト)が間違いだと言うの? まさか……」

 私はエミールから思わぬ指摘をされて驚き、信じられないと目を見開いた。

「とにかく、僕は出会った時から今まで変わらずにイーディスを心から愛していますし、貴女が先ほど危惧されていた内容は、すべて無用な心配です……失礼します!」

 怒りで身体を震わせていたエミールは、私を置いて部屋を出て行った。

 扉を乱暴に閉められた大きな音を聞いて、彼の言葉を聞き呆然としていた私は我に返った。

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