恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 いけない。私の能力(ギフト)を知らないのならば、それは何の意味もないわ。

「え? ……何を言い出したんだ。リディア。お前だって知っての通り、多忙過ぎて夜会にも行けないというのに、恋人など出来るはずがないだろう?」

「そ……そうよね」

 第三王子レンブラント様と婚約している我がダヴェンポート侯爵家は、自ずと外交関係の仕事を割り振られ、お父様とお兄様もこのところ私の婚約者同様に多忙のようだ。

「どうしてそんな事を思ったんだ。リディア。もしかして、この前に貰ったはずの能力(ギフト)関係の話か?」

 お兄様は不思議そうにそう言い、私は躊躇いつつも頷いた。

「お兄様……能力(ギフト)判定の儀式で伝えられた内容が、全く違ったものである可能性ってあるのかしら?」

 私はそれは、有り得ないと思った。神殿も公的機関に間違いないし、彼らだって重要な伝達事項に間違いがあってはいけないと日々働いているはずだ。

 けれど、現に恋人が居なくて恋愛などしている時間のない兄の頭上にある恋愛指数は最高値なのだ。

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