恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 レンブラント様は私の婚約者としての義務を果たそうとしてか、素っ気なくもそう言った。

 常に冷たい態度を取る癖に、こういうところは、やたらと優しい人。

「申し訳ありません。これは個人的な事情が含まれますので、レンブラント様にお話出来る時が来れば、すぐにお伝えするように致します」

「……わかった」

 今は何も言えないと私が申し訳なく思い頭を下げれば、レンブラント様は黙ったままで頷いた。

「あ。そうです。夜会用のドレス……どうもありがとうございました」

 本日訪問時に渡された、明日の夜会用のドレスと装飾品のお礼を言った。レンブラント様から贈られるドレスは私好みのもののため、届けて貰える時がいつも楽しみなのだ。

「……ああ。婚約者として当然の事だ。気にしないでくれ」

 レンブラント様はすげなくそう言って、お茶を飲んでいた。これまでの関係性であれば、何も思わずに流せてしまえたはずだ。

 けれど、彼の事を好きだと気がついてしまっている私は、そんな冷たい態度を見て胸が痛くなった。

 本当に……勝手なものだ。ほんの少し前まで、彼のこういうところが良いと思っていたはずなのに。

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