恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「ねえ。イーディス。信じられない事だけど、もしかしたら、私の能力(ギフト)は恋愛指数を見る事ではないかもしれないの」

 私はそう言って彼女に耳打ちをすれば、イーディスは目を輝かせて何度も頷いていた。

「……! 私もきっと、そうだろうと思っていたわ! だって、これまでおかしな事ばかりだったもの。けど、リディア。何かそう思うきっかけでもあったの?」

 まず、最初のきっかけと言えば、彼女の恋人であるエミールがとても演技だと思えなかった事であるけれど、それはイーディスには言えずに私は肩を竦めた。

「実はお兄様の頭上にある数字も、最高値だったのよ。けれど、あの人には恋愛をする時間的な余裕もなく、本人に聞いてもそんな相手は居ないと言って居たわ……だから、恋愛指数が最高値なはずがないの。今は神殿に判定結果が間違いではなかったのかと、問い合わせ中なのよ」

 今ではもう、私はすっかり最初の判定結果が間違いであるだろうと思っている。

 エミールのこともそうだけど、お兄様だっておかしいもの。

 ……それに、あの時を思い返せば焦っていた新人神官ならば、やりかねないと気がついてしまっていた。

「……まあ、恋愛指数ではなかったら、何なのかしら……私も最高値らしいから、何なのかと気になってしまうわね」

「もし、これが間違いで何の数値なのかがわかれば、貴女にすぐに知らせることにするわ。イーディス」

 そうして、私は彼女の恋人エミールのことも合わせて、謝罪しなければならないだろう。

 能力(ギフト)の内容を間違えて伝えられたことによる勘違いだったのだけど、彼女を心から愛しているエミールにとっては、大変不本意な内容で責められたと思うから。


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