恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 ちょうど浮いている数字が視界の邪魔をしているように私には見えるけれど、本人にはそれは見えないのだから何の支障もないはず。

「ええ……その……そうです。ですが、今までそうだと思って居た能力(ギフト)が、全く違ったものだったかもしれないと知ったので、勘違いかもしれないと思うことも多く、最近はその事で頭が一杯になっておりました」

 これは、全くの嘘ではない。

 実際のところ、レンブラント様に他の女性が居るのではないかと慌ててしまい、ただ普通に働いているだけだった彼のことを尾行したりしていたのだ。

 今思い直すと、自分の行動が本当に恥ずかしい。

 けれど、これらをすべて赤裸々に語ってしまうことは躊躇われた。

 レンブラント様は不思議そうな表情を浮かべながらも、私の下手な説明に納得してくれたようだ。

「神殿に問い合わせをした方が良いのかも知れない。あれは、判定のための三つの水晶に出て来る図形と能力(ギフト)の書かれた本にある説明を照らし合わせるものだったはずだったな」

 レンブラント様は遠い目をして、その時の光景を思い返しているようだ。彼には、それは二年前の出来事だものね。

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