恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「……もうすぐ、彼女に伝えるつもりだよ。アンドレ」

 苦笑してそう言った僕の机の上に、次に決裁する書類を置いて、アンドレは目を眇めた。

「当分は、告白しないおつもりでしょう。いけませんよ。空返事は」

 以前、僕が婚約者リディアに対する態度はなっていないと怒られて、能力(ギフト)について白状させられたという経緯がある。

 アンドレも婚約者からの冷たい態度に喜ぶリディアについては『私には理解出来ない考えを持つお方もたくさんいらっしゃいますから』と、言葉を濁していたが、思いもしなかったに違いない。

「……仕方ないだろう。僕の能力(ギフト)がなければ、リディアが冷たく接されて喜ぶ女の子だとは、絶対に知れなかったはずだ」

 僕は幼い頃に婚約者のダヴェンポート侯爵令嬢だと紹介された時に、すぐに彼女に好意を持った。彼女もそうだと思う。

 目が合った瞬間に、彼女の周囲がきらめいて見えたから。

 可愛らしいリディアは幼い頃に母を亡くしているせいか、少し大人びたところがあり、婚約者である僕からも距離を取っていた。

< 72 / 140 >

この作品をシェア

pagetop