恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 けれど、まだレンブラント様本人も知らない事を、まさかこんな公衆の面前で彼女に伝える訳にもいかない。

「……いえ……私たち二人は、婚約者として上手くやっておりますわ」

 どう切り抜けようと悩みぎこちなく微笑んだ私を見て、ナターシャ様は不機嫌そうに顔を顰めた。

「あら。私には、とてもそのようには思えないわ。レンブラント様にはリディア様よりも、この私の方が殿下の婚約者として、相応しいのではないかしら?」

 それを聞いて私は思わず息を呑んだし、見ない振り聞こえない振りをしていた周囲の人たちだってそうだろう。

 だって……これは、私への宣戦布告に他ならないからだ。

「ナターシャ様。それは……取り消してください」

 ここで……彼女が公言してしまったなら、私たちの家同士の問題になってしまうし、婚約者レンブラント様の王家まで、巻き込んでしまう。

「ええ。これは、貴女の思う意味に取って下さって結構よ。ダヴェンポート侯爵令嬢。レンブラント様も貴女には素っ気ない態度を続けているようですし、きっと、私の事を気に入ってくださるでしょう」

 挑戦的に私を見つめる彼女に何も言えず、私たち二人は無言のまま見つめあった。


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