恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「ええ。そうね。私とエミールは付き合ったばかりなのだから、それは当たり前のことよね。だって、私は今でも、彼が何をしているか気になってしまうもの……仕事中なのだろうけど」

 うっとりとした眼差しで空を見つめ、イーディスは両手を組んだ。彼女の目にはそこにエミールの顔が映っているのかもしれない。

 恋愛指数最高値の計測は正確なようだわ。だって、そんなイーディスが今恋なんてしていないだなんて、誰も思わないわよ。

「なんだか急に暑くなって来たわ。冷たい氷菓子でも出して貰おうかしら?」

 まだ氷菓子には季節的に早いけれど、私が揶揄うようにそう言って手で顔を仰げば、彼女は楽しげにくすくすと微笑んだ。

「体が冷えてしまって構わないのなら、別に構わないわよ。そうだわ。リディアの婚約者様の恋愛指数は、どうだったの?」

 イーディスは自分側の話をしたのだからと思ったのか、私の婚約者の話へと水を向けてきた。

 とは言っても、私と婚約者の関係は彼女たちとは違ってお熱いとは言い難いので、素っ気なく肩を竦めた。

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