恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜

18 強がり

 城の中に用意して貰った一室で湯浴みを済ませた私は、呼んでもらっていた父ダヴェンポート侯爵と会っていた。兄は現在、遠方に出掛けているそうだ。

「……ジャイルズ公爵令嬢の言葉は、特に問題ないだろう」

 向かい合って座っていたお父様は私からの言葉を聞き、顎に手を当ててそう言った。

「けれど、お父様」

 眉を寄せた私は、そういう訳にはいかないだろうと思った。

 数多くの貴族たちが周囲に居るとわかっていながら、あんな風に『自分の方が婚約者に相応しい』と公言するなんて、普通に考えればあり得ない。

「リディアが気にすることはない。ナターシャ嬢とリディアで、最終的に婚約者を選ばれたのは、実はレンブラント殿下本人なんだ。ナターシャ嬢のお気持ちを考えてそれは公的には明かされていないが、レンブラント殿下が望まれた事なのだから、何の問題もないだろう」

 余裕の笑みを浮かべて、お父様は私に頷いた。

「……え」

 確かに婚約者を最終的に選んだのが、レンブラント様ご本人であるならば、彼女の主張は見当違いになってしまう。

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