恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
「ああ。リディア。あのようなことになって心配であっただろうが、お前が何かを悩む必要はない……しかし、お茶会でケーキを倒されてしまうとは……犯人の姿を見なかったのか?」

「ええ。見ていないわ。驚いてしまって、動揺してしまったの。けれど、ナターシャ様にああ言われて、私がお父様とお兄様に会いに、あの場所を通る事は知っていると思うから……」

 私は敢えて、ここで言葉を濁した。おそらく、ナターシャ様の手の者だとは思うけれど、それを断定出来る要素が少な過ぎる。

「……ナターシャ嬢が何をしようが、どちらにしても、結婚する相手であるレンブラント殿下の意に沿わぬ事であれば、叶わぬ事。お前が気にする必要もないだろう」

 ナターシャ様が私たちが不仲であると誤解した事も、これまでを考えれば仕方がない。

「私たちがもっと距離を縮めれば良いのですわね。お父様。婚約者同士だと言うのに、ずっと距離を置いていましたもの」

 そんな誤解だって、これから二人で話し合えばすぐに解決する事だわ。

 これまでのレンブラント様に感じていた気持ちの経緯であるとか、私の今の素直な気持ちとか。

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