恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜

19 言いがかり

 まさかケーキ塗れの姿で王族に会う訳にはいかないし、レンブラント様には『私の方から連絡する』とは言っていたのだけど、もし彼と話をするなら私の方から向かう方が早いと思った。

 レンブラント様の私への『好感度』は、最高値で疑うべくもない。

 まさか、再度神殿が能力(ギフト)の内容を間違えて私に教えているなんて事はないはずだし……もし、そうだとしたら厳重に抗議するわ。

 色々とあった間に、時はすっかり夕暮れになってしまったけれど、まだ食事の時間ではないはずだから、急げば間に合うはず。

「ダヴェンポート侯爵令嬢」

 早足で城の廊下を歩いていた私は、不意に掛けられた声に振り向いた。

「……ナターシャ様」

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